どうも、ネフローゼ歴26年の美堂(@midou_kyouji)です。
春や秋になると、季節の和菓子として、「おはぎ」や「ぼた餅」を楽しみますよね。
けれど、一見、両方とも同じに見えませんか?
こしあんか粒あんの違い?それとも大きさの違い?
もしかして地方によって呼び名が違うの?
実は「おはぎ」と「ぼた餅」以外に別の名前があるって知ってましたか?
- 「おはぎ」と「ぼた餅」の違いを知りたい人
本記事では、「おはぎ」と「ぼた餅」の違いと名前の由来についてご紹介してます。
「おはぎ」と「ぼた餅」の違い
「おはぎ」と「ぼた餅」、両者の違いは何なのか、紹介していきます。
【結論】「おはぎ」も「ぼた餅」も同じもの
結論から言うと、「おはぎ」も「ぼた餅」も同じものです。
季節によって、呼び名が違うだけです。
「おはぎ」と「ぼた餅」の名前の由来
季節によって呼び名が違うのですが、その名前の由来について紹介します。
【両者の名前の違いの由来】
- おはぎ
→ 漢字では「お萩」
→ 萩の季節、つまり秋のお彼岸に食べるもの。
あずきの粒をその季節に咲く萩に見立てた和菓子。 - ぼた餅
→ 漢字では「牡丹餅」。
→ 牡丹の季節、春のお彼岸に食べるもの。
あずきの粒をその季節に咲く牡丹に見立てた和菓子。
昔の人は季節をお菓子で楽しむという風習があって素敵ですよね。
【どうして秋の方だけ「餅」がついたの?】
「倭漢三才図会」に「牡丹餅および萩の花は形、色をもってこれを名づく」とあり、牡丹餅がぼたもちになり、萩を丁寧に言っておはぎになったというのが、最も一般的な説です。
【倭漢三才図会とは】
『和漢三才図会』(わかんさんさいずえ)は、寺島良安により江戸時代中期に編纂された日本の類書(百科事典)。正徳2年(1712年)成立。
よって、春は「ぼた餅」、秋は「おはぎ」と季節によって使い分けないといけないのですが、最近では年中「おはぎ」で通すお店が増えてきてますね。
「おはぎ」と「ぼた餅」はどうしてお彼岸に食べるの?
そもそも、どうして「おはぎ」と「ぼた餅」はお彼岸に食べることになったのでしょうか?
由来を調べてみると、江戸時代から始まったと言われてます。
この頃から、お彼岸や四十九日の忌明けに食べる風習が一般化して定着したそうです。
【あずきを用いたお菓子の理由】
あずきの赤色には、災難が身に降りかからないようにするおまじないの効果があると信じられていて、古くから邪気を払う食べ物としての信仰が、先祖の供養と結びついたと言われています。
【なんで彼岸に食べるの?】
仏教では、「彼岸」のことを「彼の岸として悟りの境地を言い、苦しみに満ちている此岸と対になる言葉」として使われてます。
つまり本来は、彼岸中は仏道修行に励むのですが、日本では祖霊崇拝の慣習を合わさり、ぼたもちやおはぎを捧げ、先祖を慰め、自分自身の功徳を積んでいました。
本当は、自分たちで食べるものではなかった。
【季節の変わり目という意味も込めてある】
「暑さも寒さも彼岸まで」と言われるように、春の彼岸は農作業が始まる時期で、秋の彼岸は収穫の時期にあたります。
よって、春には収穫をもたらす山の神などを迎えるためぼたもちを、秋には収穫を感謝しておはぎを作ったとも言われています。
「おはぎ」と「ぼた餅」の大きさと形の違いについて
実は、「おはぎ」と「ぼた餅」は並べて比較すると、大きさと形に違いがあります。
【大きさと形の違い】
- ぼた餅
→ 牡丹の花をかたどって丸く大きく豪華に作っている。 - おはぎ
→ 秋の七草の萩の赤紫の花をかたどって小ぶりで長めに丸められて作る。
「おはぎ」と「ぼたもち」、違いは「粒あん」か「こしあん」説は?
粒あんが「ぼた餅」、こしあんが「おはぎ」と思ってませんか?
「おはぎ」の方が高級そうなイメージを持ってませんか?
今こそ、その違いを紹介しましょう!!
その違いは小豆の収穫時期によって変わったから。
【「粒あん」と「こしあん」と小豆の収穫時期の関係】
- おはぎ
→ 「粒あん」。
→ 秋のお彼岸は、小豆の収穫期と同じなので、獲れたての柔らかい小豆をあんにすることができる。柔らかい皮も一緒に潰して使えるので「粒あん」を使用した。 - ぼたもち
→ 「こしあん」
→ 春のお彼岸は、冬を越した小豆を使うので、皮が固くなってます。当然、固くなった皮をそのまま使うと食感が悪いので、皮を取り除いた小豆を使って「こしあん」を使用した。
最近では、保存方法の発達や品種改良で、春でも皮のまま使うことができる小豆が登場したので、本来の「粒あん」「こしあん」の使い分けの意味がなくなってきました。
ちなみに、小豆の状態や米粒の形の残り具合によって、「半殺し」、「皆殺し(本殺し)」と呼ぶ地域もあるそうです。
「おはぎ」と「ぼた餅」には隠された夏と冬の呼び名がある!
本来は春と秋に楽しむ「おはぎ」と「ぼた餅」ですが、実は、夏と冬でも隠された名前があるんです。
夏のおはぎは「夜船(よふね)」と呼ばれる。
おはぎはお餅と違って、餅つきをしません。
杵でつかないので、「ペッタン、ペンタン!」と音がしないのです。
※具体的には、もち米とお米を混ぜて炊き、すりこぎで半つぶしにして作る。
この「ペッタン、ペンタン!」と音がしないので、お隣さんからすると、いつついたのか分からない。そういうところから、
「搗(つ)き知らず」 → 「着き知らず」
夜は船がいつ着いたのか分からないことから「夜船」となったそうです。
夏の夜船。月の光だけがぼんやりと水面を照らす中でひっそりと浮かぶ船。
なんだか不思議でかっこいい響きですよね。
冬のおはぎは「北窓(きたまど)」と呼ばれる。
こちらも、途中までは夏と同じ考えかたです。
おはぎは餅つきと違い、杵でつかないのでペッタンペッタンと音がしない。
だから、いつついたのか分からない、までは同じです。
ここから先が夏と違います。
「搗(つ)き知らず」 → 「月知らず」
月の見えないのは、北の窓なことから「北窓」となったとのこと。
寒い冬に北の窓。
雪がシンシンと降り積もる様子を北の窓から眺めている風景が想像できませんか?
冬の寒空に浮かぶ月を思い浮かべると、なんだか不思議な気持ちになりますよね。
まとめ
「おはぎ」と「ぼた餅」の違いについて紹介しました。
名前の違いだけでなく、それぞれに想いを込めたネーミングの違いにも驚いたのではないでしょうか?
けれど、昔の人って、とてもオシャレなセンスを持っていたんだなと思いませんか?
季節感と同時に風情を感じられて、どこか心がホッとする感じがします。
「おはぎ」1つに4つの名前をつけるほど、自然と季節とを結びつけて、遊び心がありながらも風情も感じられる。
日本の心を忘れてはいけないのかもしれませんね。
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