どうも、ネフローゼ歴26年目の美堂(@midou_kyouji)です。
ネフローゼ症候群の病気の辛い部分は症状もそうですが、1番辛いのって、何度も再発してしまうことじゃないですか?
私も5歳の頃に発症してから、26年間の間に少なくとも数えきれないほど再発してます。
そのたびに、「また最初からやり直しか・・・。」と心が折れそうになります。
もうね、ゲームだとしたら、ラスボスまであと少し!!ってところで、
セーブデータが消えて、スタート画面からやり直す感覚に近いです。
マジで泣きたくなるからね。
もし、あなたがネフローゼ症候群で、何度も再発していてたら、次こそは!!と思いますよね。
もし、あなたの大切なお子さんが、どんなに気を付けて生活をしていても、再発するたびに副作用で苦しむ姿をもう見たくないですよね?
そんなあなたに、免疫抑制剤という治療方法を選択肢に入れて再発をしないようにしてみたくありませんか?
実際に、私も過去に免疫抑制剤を使って、再発しない期間を設けて、プレドニンの減量に減らすことに成功したことがあります。
そして、現在、私はリツキサンという免疫抑制剤の治療に挑戦してます!
(医療界では、リツキサンはネフローゼ症候群を完治させる薬になるかもしれないと言われてます。)
本記事では、免疫抑制剤の治療のメリットとデメリットや、リツキサン治療について紹介してます。
[aside type=”boader”]
【この記事はこんな人に向けて書いてます】
- ステロイド治療を減量したら、ネフローゼ症候群を何度も再発してしまう人
- お医者さんから、治療方法の選択肢に免疫抑制剤を提案された人
[/aside]
【あわせて読みたい】
[btn class=”big”]ネフローゼ症候群の基本的な説明はこちらです[/btn]
[btn class=”big”]小児のネフローゼ症候群についての説明はこちらです[/btn]
ステロイド治療だけじゃ再発するから
ネフローゼ症候群の治療のメインとなるのは、ステロイド薬(プレドニン錠)の投与になります。
ネフローゼの症状が出たら、プレドニンを大量に体内に入れることで、たんぱく尿を抑え込むことができます。
ただね、ネフローゼ症候群の治療で使われる、ステロイド薬の副作用が結構つらいんですよね。
私も、肥満体質になって、骨はもろくなって骨折しやすくなって、ムーンフェイスになるのが嫌です。
それに、1番の問題は、ステロイド薬だけじゃ再発の予防はできないってことなんです。
ネフローゼ歴26年の私の実体験をベースに検証しますと、ステロイド薬は対処療法でしかない。
ネフローゼ症候群の再発をどうにかして止めたいと思いますよね?
現在の医学では、ネフローゼ症候群の再発を抑える方法は以下の方法になります。
[aside type=”boader”]
【ネフローゼ症候群の再発を抑える方法】
- 免疫抑制剤を使用する治療方法
- 生活習慣や食事制限などを徹底する
[/aside]
ネフローゼ症候群の再発を抑える方法は限られてます。
免疫抑制剤を使用する治療方法は詳しくは本記事で後述しますが、
こちらは種類もたくさんあって、効果も有効かどうかは個人差があります。
薬を使わない方法として、生活習慣や食事制限を徹底する方法もあります。
こちらは、漢方薬を併用する方法もあります。
(漢方薬も広い意味では薬なのですが、本質的には体質改善に近いです)
体質を変えることで、ネフローゼ症候群の再発を抑えて完治に近づけるという方法になりますね。
ただ、こちらの方法の場合も個人差があって、どんな食材や漢方薬・運動が有効なのか分かりません。
それに、成人の方の場合は、日中は会社員として働いてることになると思いますが、
環境的に再発するリスクは高いのを避けることが困難だと思います。
[aside type=”boader”]
【会社員で再発する可能性があるリスク】
- 他人と接触することによる感染症リスク
- 肉体的・精神的ストレスを日常的に受けるリスク
- (再発する前兆を感じても)好きなときに会社を休めない
[/aside]
生活習慣を変えるということは、環境を変えるということと同意です。
悲しいことに、日本の会社という組織では、健康を損なうリスクのオンパレードです。
それに、ネフローゼ症候群は他人には理解が難しい病気なんですよね。
昔、私が会社の上司に健康状態について質問されたので、
この病気のことを説明したら、こんなことを言われたことがあります。
上司「え?何言ってるの?治らない病気って、そんなのガンぐらいでしょ?
君みたいに若い人がそんな深刻な病気な訳ないじゃん?
寝言言ってないで、死ぬ気で働いたほうが君の為だよ!」
決して、この上司のことを悪く言うつもりはないのですが、
多くの健康な一般人の人はこういった無神経でホントに病気で苦しんでる人のことを無意識に傷つける言動をします。
当事者でないので、理解も実感も出来ないので仕方ないと思いますが・・・。
だからと言って、会社を辞めてしまっては生活に困る人も多いですよね。
ネフローゼ症候群の人が、就職するのも大変ですし。
なので、現実的には免疫抑制剤を使用していく方法が、再発しない期間を作り出すベストな方法と言えます。
【あわせて読みたい】
[btn class=”big”]ネフローゼ症候群でプレドニンを使う理由はこちらです。[/btn]
[btn class=”big”]ネフローゼ症候群が再発する理由はこちら[/btn]
免疫抑制剤って何?
免疫抑制薬は体内で過剰に起こっている異常な免疫反応を抑える薬です。
ネフローゼ症候群において、ステロイド薬だけでは効果が乏しい場合や、
副作用により減量や中止しなければならない場合などの補助的選択薬として使用されることが多い薬です。
この薬はネフローゼ症候群だけでなくて、急速進行性糸球体腎炎、IgA腎症、ループス腎炎などに使用されてます。
ネフローゼ症候群の治療として使用される場合には、
特に「ステロイド」のみでは治療困難なネフローゼ症候群や進行性リスクの高いネフローゼ症候群、
「ステロイド」が使えない場合に単独または他剤と一緒に使用されます。
また、「ステロイド」を減量や中止するときにも「免疫抑制薬」が使用されます。
免疫抑制剤は色々な種類があるのですが、いずれの薬も通常、
効果がみられるまでには1~2ヵ月かかりますが、
有効なことが確かめられれば6ヵ月以上の長期服用が必要になります。
免疫抑制剤のメリット
免疫抑制剤を使用するメリットは、何と言っても、
ネフローゼ症候群の寛解状態(再発しない状態のこと)を長期間、維持できる点です。
ネフローゼ症候群の再発の頻度を減らすことで、
ステロイド薬(プレドニン錠)を減量して最終的に飲まなくても良い状態にもっていくことができます。
それに伴って、ステロイド薬の副作用からも解放されます。
私も免疫抑制剤を使用してる間、プレドニンを飲まない期間があったのですが、世界が違って感じましたね。
「あ~、健康な人ってこんなに楽で自由な生活をしてるのか~!!」
[aside type=”boader”]
【プレドニンをやめて感じた変化】
- スポーツや日常生活で身体を動かしても大丈夫っていう安心感
- スリムになった
- 筋肉がつくようになった
- 疲れにくくなった
[/aside]
プレドニンをやめたことにより、食生活が劇的に変化しました。
プレドニンを服用してると、どうしても太りやすい体質になっているので、年中ダイエット生活をすることになります。
(おかげさまでダイエット知識はかなり詳しくなりました)
好きなものを食べても太らなくなるというのは、めちゃくちゃ嬉しいんですよね!
ステロイド服用中は、高カロリーのものや炭水化物は避けたり、食べる量も減らす必要がありますからね。
ステロイドがなくなると、食欲も抑えられるのでかなり少食になります。
益々、スリムになっていきますね!
外見も変わることで、自分に自信を取り戻せます。
やっぱり、ムーンフェイスで肥満気味の体型だと、引け目を感じて周りからの目線が気になります。
「あの人、顔パンパンじゃん。ダイエットすら出来ない自己管理能力がない、だらしない人なんだな〜笑」
って、言われてると思っちゃいます。
(実際は、他人の体型のことなど眼中に入ってない人の方が多いのですが)
ステロイドがなくなって勝手にスリムになっていくと、外出して人と話したり、オシャレすることが楽しめるようになりました。
「世界が輝いて見える!」
割とマジに思いましたね。単純ですけど。
免疫抑制剤のデメリット
免疫抑制剤のデメリットで1番気になるのは、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすいことです。
ネフローゼ症候群の再発のきっかけになるのが風邪やインフルエンザが多いです。
ネフローゼ症候群の再発を抑えようと免疫抑制剤を使うのに、風邪などをきっかけに再発してしまうという悪循環があります。
かなり辛いんだよね。。
免疫抑制剤のデメリットは、長期間使用することにより、その悪影響は顕著に現れます。
シクロスポリン(通称 ネオーラル)という免疫抑制剤は、2年間使用を続けると、腎毒性という腎障害を引き起こす可能性があると言われてます。
もちろん個人差がありますので、どの免疫抑制剤の副作用が発症するかは使ってみないと分かりません。
免疫抑制剤を使う際には、高いメリットの反面、どんな副作用が生じるか予想がつかないというデメリットがあります。
[aside type=”boader”]
【免疫抑制薬の主な副作用】
- 感染症
- 高脂血症
- 血圧上昇
- 消化器症状
- 過敏症
- 腎障害
- 肝障害
- 高尿酸血症
[/aside]
上記に挙げた、主な免疫抑制剤の副作用ですが、必ず起こるものではないです。
実際に私もネオーラルを使用してた時期があります。(大学生時代)
期間は2年以下でしたが、その期間中はネフローゼは再発しなくて、深刻な副作用も発症することはなかったです。
その期間中は、大学生ということもあって、
お酒デビューして友人とカラオケオールしたり、部活の旅行にも行ったりなど、
健常者と変わらない生活を過ごせました。
プレドニンも飲まない期間もあったので、ムーンフェイスは解消されて体重も驚くほど減少しました。
免疫抑制剤ってどんなのがあるの?
ネフローゼ症候群の治療で使用される免疫抑制剤は種類がたくさんあります。
[aside type=”boader”]
以下に主に使われる免疫抑制剤をご紹介します。
(MELDY 「ネフローゼ症候群」より引用)
- シクロスポリン(通称 ネオーラル)
- タクロリムス
- アザチオプリン
- ミゾリビン
- ミコフェール酸モフェチル
- シクロホスファミド
- リツキシマブ
- 漢方薬
【シクロスポリン(通称 ネオーラル)】
免疫反応の中心的な役割を果たしているリンパ球T細胞の活性化に関わるカルシニューリンという酵素を阻害することで、免疫抑制作用をあらわす薬です。
免疫抑制薬として腎臓などの臓器移植後の拒絶反応を抑える目的や、
ベーチェット病や乾癬などの自己免疫疾患の治療薬として使われています。
免疫抑制作用に加えて尿タンパクを減少させる可能性なども考えられていて、
頻回再発型のネフローゼ症候群やステロイド剤に対して抵抗性をあらわすネフローゼ症候群などに対して有用とされています。
ネフローゼ症候群の治療ではステロイド剤との併用で使われる場合が多いですが、
なんらかの理由でステロイドが使用できない場合にはシクロスポリン単独で投与される場合も考えられます。
シクロスポリン製剤の中でもよく使われているのが、
マイクロエマルジョンという加工を施した製剤(商品名:ネオーラル®)です。
この製剤は、以前に開発された製剤に比べ薬剤成分の吸収における胆汁酸や食事の影響を少なくし、
安定した血中濃度を保ちやすいように工夫されています。
それでも薬の吸収においては個人差が生じるため、
一般的には血液中の薬物濃度を測定し適切な量となっているかを観察していくことが重要です。
またシクロスポリンによる治療中にグループフルーツを摂取した場合、
体内でのシクロスポリンの代謝が阻害され血液中の濃度が上昇する可能性があります。
場合によっては腎障害などの副作用があらわれるケースも考えられるため注意が必要です。
同じ柑橘類でもみかん(温州みかん)では相互作用の問題がないとされていますが、
八朔(ハッサク)などの柑橘類でグレープフルーツ程ではないにせよ相互作用があらわれる可能性も考えられます。
日頃から柑橘類をよく食べる習慣がある場合は、
事前に医師や薬剤師に食べても問題がないかなどを確認しておくことも大切です。
他にもセイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)というハーブを含む食品であったり、
抗ウイルス薬などの薬剤との相互作用も比較的多い製剤のため注意が必要です。
【タクロリムス(通称 プログラフ)】
タクロリムスは藤沢薬品(現アステラス製薬株式会社)の研究所(茨城県つくば市)の近く、
筑波山の土壌に生息する放線菌の代謝産物として発見された免疫抑制作用をあらわす薬剤です。
従来の免疫抑制薬に比べても高い免疫抑制効果をあらわし、
元々は腎臓などの臓器や骨髄の移植による拒絶反応を抑える目的で使われてきました。
その作用の仕組みはシクロスポリンに類似していて、
主に体内の免疫反応の中心的な役割を果たしているリンパ球T細胞の活性化を阻害することにより免疫抑制効果をあらわします。
ネフローゼ症候群に対して直接保険で承認されている薬ではありません(2017年10月時点)が、
ステロイド剤による効果が不十分であったり副作用によって治療が困難な場合などにおけるループス腎炎に対して保険で承認されているため、
ステロイド剤への抵抗性があるネフローゼ症候群を呈するループス腎炎などに対して使われる場合があります。
タクロリムスはこの他、関節リウマチ、重症筋無力症、潰瘍性大腸炎などの自己免疫が関係する疾患の治療にも使われています。
ループス腎炎で使われるタクロリムスの用量は通常、
(成人で)1日あたり3mgもしくはさらに少ない用量といったように、
一般的に移植による拒絶反応を抑える目的で使われる用量よりも少ない量で使われます。
ただし、免疫を抑える薬であるため、易感染性(いかんせんせい:細菌やウイルスなどに感染しやすくなること)には注意が必要です。
使用している用量、体質などによっても感染への危険性は異なりますが、
日頃から手洗い・うがいを行うなど日常生活における注意も大切です。
その他、腎障害、血圧上昇などの循環器症状、ふるえやしびれ、不眠などの精神神経系症状、心不全や不整脈などの循環器症状、高血糖、肝機能障害などに注意が必要です。
またタクロリムスによる治療中にグループフルーツを摂取した場合、
体内でのタクロリムスの代謝が阻害され血液中の濃度が上昇する可能性があります。
場合によっては腎障害などの副作用があらわれるケースも考えられるため注意が必要です。
同じ柑橘類でもみかん(温州みかん)では相互作用の問題がないとされていますが、
八朔(ハッサク)などの柑橘類でグレープフルーツ程ではないにせよ相互作用があらわれる可能性も考えられます。
日頃から柑橘類をよく食べる習慣がある場合は、
事前に医師や薬剤師に食べても問題がないかなどを確認しておくことも大切です。
他にもセイヨウオトギリソウ(セントジョーンズワート)というハーブを含む食品であったり、
一部の抗菌薬(抗生物質)や抗ウイルス薬などの薬剤との相互作用があらわれることが考えられるため注意が必要です。
【アザチオプリン(通称 アザニン)】
アザチオプリンは体内で核酸合成を阻害する6-メルカプトプリン(6-MP)という物質へ代謝されることによって免疫抑制作用をあらわす薬剤です。
6-MPを直接投与する場合に比べて副作用の懸念が少ないなどのメリットが考えられ、
ステロイド剤との併用療法で使われたり、シクロホスファミドの後治療などの選択肢となっています。
ネフローゼ症候群の他、臓器移植後の拒絶反応の抑制、クローン病、リウマチ性疾患などの治療に使われる場合もあります。
免疫抑制作用が比較的マイルドな一方、副作用も比較的軽度とされますが、
骨髄抑制、肝機能障害、感染症、間質性肺炎、下痢などの消化器症状、悪性新生物などには注意が必要です。
またいくつかの薬との相互作用などにも注意が必要で、
特にフェブキソスタット(フェブリク®)、トピロキソスタット(トピロリック®、ウレアデック®)などの尿酸産生を阻害する薬を服用している場合には骨髄抑制などの副作用が増強する可能性も考えられるため、事前に医師や薬剤師へ伝えておくことが大切です。
【ミゾリビン(通称 プレディニン)】
核酸合成(プリン合成系)を阻害する免疫抑制薬で、元々は腎移植後の拒否反応を抑える薬として承認されました。
その後、ステロイド剤に抵抗性を示すネフローゼ症候群、ループス腎炎、関節リウマチの治療薬としても承認され、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎などへの有用性も考えられています。
ミゾリビンの免疫抑制作用の仕組みは細胞周期のS期(DNA合成期)においてDNAの合成を抑制し、
炎症反応などを亢進させるリンパ球T細胞やB細胞の分裂や増殖などを阻害することで効果をあらわします。
ステロイド剤との併用療法の他、週2回のパルス療法なども治療の選択肢とされています。
副作用として骨髄抑制、感染症、間質性肺炎、肝機能障害、食欲不振などの消化器症状、発疹などの皮膚症状などには注意が必要です。
【ミコフェール酸モフェチル(通称 セルセプト)】
ミゾリビンとは異なる作用の仕組みにより核酸の合成(プリン合成系)を阻害しリンパ球T細胞やB細胞の増殖を抑える作用をあらわす免疫抑制薬です。
元々は腎移植における拒絶反応を抑える薬として保険承認されましたが、2016年にはループス腎炎の治療薬としても承認されています
(他に心移植、肝移植、肺移植、膵移植の拒絶反応を抑える薬としても承認されています)。
難治性のネフローゼ症候群や抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎などに対して有用とされ、
同じ免疫抑制薬のシクロスポリンやシクロホスファミドなどがなんらかの理由で継続できない場合などにおける選択肢となることもあります。
副作用として感染症、骨髄抑制、下痢や潰瘍などの消化器症状、肝機能障害、心不全や不整脈などの循環器症状などには注意が必要です。
【シクロホスファミド(通称 エンドキサン)】
アルキル化剤という種類に分類される薬でネフローゼ症候群などの治療では免疫抑制薬として使われます。
シクロホスファミドは生体内で代謝・活性化された後、細胞増殖に必要なDNAの合成を阻害する作用をあらわします。
DNA合成阻害作用によりリンパ球の中でも特にB細胞の活性を抑える作用が期待できるとされ細胞性・液性免疫をともに抑えることにより腎疾患の治療薬としても有用です。
ステロイド剤の治療を行っても十分な効果が得られないような病態、
活動性が高いループス腎炎、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎などの難治性のネフローゼ症候群の治療の他、
全身性エリテマトーデス、全身性血管炎などの治療にも使われています。
またシクロホスファミドはがん細胞の無秩序な増殖を抑える抗腫瘍効果も期待できる薬です。
これはがん細胞の増殖に必要なDNA合成を阻害することによるもので、
シクロホスファミド自体は元々抗がん剤として承認された薬でもあります。
免疫抑制薬として使う薬が抗がん剤にもなる・・・と聞くと少しドキッとするかもしれませんが、作用の仕組みを考えると抗腫瘍効果も理解しやすいのではないでしょうか。
注意すべき副作用としては白血球減少症などの骨髄抑制、感染症、性腺機能障害、吐き気などの消化器症状などがあります。
また本剤が体内で代謝されてできるアクロレインなどの代謝産物は出血性膀胱炎、排尿障害、膀胱がんなどの原因となることがあり注意が必要です。
これはアクロレインなどが腎臓から尿中に排泄され直接的に尿路上皮細胞を障害したり、
尿路上皮細胞に取り込まれてDNAを損傷させ障害を引き起こすことなどによるものとされています。
これを予防するために、内服薬を投与している場合は薬を朝に服用し日中は水分を十分摂る、
就寝前は排尿しできるだけ膀胱を空にする、などの指示が医師から出されることがあります。
注射薬を投与している場合は補液を行い尿量を確保したり、
アクロレインなどへの解毒作用をあらわすメスナ(商品名:ウロミテキサン®)という注射薬などを併用することで泌尿器系障害の軽減が期待できます。
【免疫抑制剤と催奇形性について】
免疫抑制薬による治療では骨髄抑制などの副作用に注意が必要である他、
催奇形性や乳汁への薬の成分の移行などの面での注意も必要となります。
ここで挙げた免疫抑制薬の多くは妊婦や授乳婦に対して禁忌となっているため、
妊婦や授乳婦以外にも妊娠の可能性がある女性などはこれらの注意事項に関して事前に医師とよく相談しておくことが非常に重要です。
【リツキシマブ(通称 リツキサン)】
免疫細胞のひとつであるリンパ球B細胞の表面にある分化抗原CD20というタンパク質へ結合するモノクローナル抗体(細胞などの特定の物質を標的に結合するように造られた人工の抗体)として開発された薬です。
元々は造血器腫瘍(リンパ腫)の治療薬として開発されましたが、
ネフローゼ症候群ではB細胞の異常やリンパ球T細胞とB細胞との情報伝達異常なども原因と考えられていて、
B細胞を枯渇化させる作用などをあらわすリツキシマブが治療の選択肢になっています。
リツキシマブ(主な商品名:リツキサン®)は2014年に頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す難治性のネフローゼ症候群に対しても承認されています。
(リツキシマブはこの他、ABO血液型不適合移植(腎移植、肝移植)における抗体関連型拒絶反応の抑制、慢性特発性血小板減少症などにも承認されています)
リツキシマブは医療機関で静脈注射によって投与される薬です。
体の大きさ(体表面積)から1回あたりに必要な量を計算し投与されます。
初回の投与後、1週間間隔で計4回投与する方法が標準的とされていますが、
初回投与後に6ヶ月間隔で計4回投与する方法など、一般的に症状などに合わせて適切な方法によって投与されます。
リツキシマブはモノクローナル抗体に分類される薬ですが、
この種類の薬ではインフュージョンリアクションという過敏症があらわれることがあります。
インフュージョンリアクションとは薬剤投与による免疫反応などにより起こる有害事象で、薬剤の投与中及び投与後24時間以内にあらわれる症状の総称です。
リツキシマブを投与する際は通常、インフュージョンリアクションの軽減などを目的としてリツキシマブの投与前に解熱鎮痛薬や抗ヒスタミン薬などを投与する前投与が行われています。
投与が終わってからも副作用などに注意は必要です。
注意すべき症状として感染症、眼症状(結膜炎など)、 血圧変動などの循環器症状、
発疹やかゆみなどの皮膚症状、発熱、呼吸症状、口腔咽頭症状などがあります。
息切れや重度の頭痛なども含めて何らかの症状があらわれた場合は自己判断せず医師や薬剤師への早めの連絡が大切です。
【漢方薬】
ネフローゼ症候群の治療ではステロイド剤や免疫抑制薬などが中心となっていますが、
これらの薬と漢方薬を併用することで症状の改善が期待できる場合もあります。
例えば柴苓湯(サイレイトウ)、柴朴湯(サイボクトウ)、
小柴胡湯(ショウサイコトウ)などの漢方薬には慢性腎炎によるタンパク尿などを改善する効果などが期待できるとされています。
柴苓湯は小柴胡湯と体内の水の滞りなどを改善する五苓散(ゴレイサン)を合わせた漢方薬で、
一般的には吐き気、喉の渇き、排尿が少ないなどを伴う下痢や胃腸炎、むくみなどに適するとされる漢方薬で、
ネフローゼ症候群などの腎疾患や肝硬変などの肝疾患、アレルギー疾患などに対しても有用となる場合があります。
柴苓湯には緩徐な利尿作用や水分調節作用の他、
内因性のステロイドの分泌促進作用や抗炎症作用なども期待できると考えられていて、
ネフローゼ症候群においてもステロイド剤などの薬と併用して使われることもあります。
[/aside]
リツキサンという免疫抑制剤が、ネフローゼ症候群を完治させるかも
免疫抑制剤の中でも、近年ネフローゼの治療において注目されてるのがリツキサンという薬です。
元々は、リンパ腫の治療薬として開発されたお薬ですが、
ネフローゼ症候群にも有効であることが解明されてきたので、
2014年に頻回再発型・難治性のネフローゼ症候群の治療薬として日本でも承認されました。
特定疾患保険の対象にもなったので、医療費負担も軽くなりました。(私の場合は上限1万円/月)
リツキサンはまだ開発されたばかりの薬(いわゆる新薬)なので、データも足りないので、使用したら確実にネフローゼが治るのか?と疑問は残ります。
けど、実際にリツキサン治療を始めて少なくとも3年は再発してないという患者さんが多いらしいです。
正確なデータを本記事にも載せたいのですが、現在はまだ大きな医療機関で臨床・治験としてデータ収集中らしいので、明確にまとまってないので載せられません。。。
実際に私もリツキサン治療を今年の5月から挑戦してます。
まだ3ヶ月なので、効果の程は分かりませんが、経過報告はこのブログでも随時記載していきます。
治療を始める前に、主治医からの話によると実際にリツキサン治療をスタートしてる患者さんで頻回再発型・ステロイド依存型の場合で、3年は再発してないという話を聞きました。
※私が通院してる大学病院は、リツキサンの臨床・治験も実施してる病院なので、ある程度のデータはあるらしいです。
ちなみにですが、私は近年だと、昨年末の12月と今年の4月に再発してます。
プレドニンもその度に30mgに増量してます。
5月にリツキサンを投与して、現在(7月)でプレドニンは10mgに減量して、再発はしてません。
リツキサン治療は、半年に1回、入院して点滴で静脈から投与します。
私の場合は、次回は11月ですね。
少なくとも、それまでには再発をしないことが目標です。
免疫抑制剤は試してみる価値はある!
免疫抑制剤はホントに色々な種類がありますよね。
実際に、私が試したことがあるのはネオーラルとリツキサンだけなのですが…
それぞれにメリットとデメリットがありますし、効果も個人差があるので、正直判断が難しいんですよね。
本記事は、必ずしも免疫抑制剤を使ってね!という意図では書いてません。
ただ、ネフローゼ症候群の治療において、ステロイドのみの治療では限界があるのが現実です。
ただでさえ、治療方法が少ない病気です。
選択肢として、免疫抑制剤という方法があるということを知っておいて欲しいんです。
ここまで、偉そうにつらつらと書いてきてますが、ネフローゼ症候群で26年も付き合ってきた私ですら、免疫抑制剤を使うことに勇気が持てないでいました。
ただね、この病気のことを自分の一部として受け入れて、正面から向き合っていくことが出来るようになったから、新しい治療方法にも挑戦してみようと思えたんです。
副作用が恐くて挑戦できない気持ちはよく分かります。
無理して挑戦しようよ!とは言えません。
ただ、もしもステロイドを脱却して、早くネフローゼ症候群を完治させたいと思えたなら、この記事や私のブログが参考になれば良いなと思います。
私は、副作用も覚悟してリツキサン治療に挑戦してます。
免疫抑制剤には、勇気が必要です。
それでも、挑戦するだけの価値があると私は思います!
Comments